ちんこんか。
さて・・・・。9年周期でやって来た、私のソロアルバム。今回は10年振りになってしまった。前作が2001年の「BLUES」。あれはカヴァーなので作曲をしてない。歌う曲集を作ったのは「ドンキホーテの」以来だから、19年振りだ。当時19の人は38歳。当時38歳の人は57歳。…yes,I do。
コノ状態を着実と言えるだろうか。ガツガツしてる?やりすぎ?ウザイ?まぁそう言うなよ。再来年(?)引退なので。これが最後かも、と思って作りました。ハードディスクレコーダーを脇に抱えて、あちらこちら。落としたら終わり。無事に完成出来て、スゴく嬉しい。やでうでしや。

まず、ジャケットですよね。御存知、洗礼者、聖ヨハネ。に似てる。元の絵に私の顔を合成して、淳二さんが頑張って私の顔を再現してくれた。のだが怖い顔。憂鬱にも程が有るので、ダダをこねて。修正してもらった。「目の下のクマがメリィさんらしさですね」と言うのだが。めちゃ怖い。スンゲー気が重くて。私の顔から遠ざかってもらった。他のデザイナーだったら「鏡を見なさい」と言われてたかもしれない。
10年前、次のジャケットはモナリザだな、と決めていた。何故なら好きだから。ですが、ダヴィンチ・コードのブームがあって、尻馬に乗るみたいなのが嫌で諦めた。でも何年前?2004年だってさ!大きなタームで生きている私。で、ヨハネの真似してみようと自分で写真撮ったのが2年前。かなり執念深い、ワタクシ。

タイトルは随分悩んださ。大震災後で、津波に流された命に対して、祈るような気持ちです。レクイエムと書けば、字づら的にも良いのだろうが、キリスト教嫌いだし。取りあえず鎮魂歌。平仮名でもよかったんだけどネ。

10年前は全曲アメリカ黒人の音楽。以前「BLUESをやるつもりは無いし、出来るとも思っちゃいない」と書きました。が、そう書くと、逆にムラムラしてきた。って訳。
今回テーマはプログレでした。プログレ嫌いを公言してハバカラズ。お耽美でクラシック・コンプレックスで、超絶技巧の連中を鼻で笑っておりました。が、そう思うと逆にムラムラしてきた。嫌いなモノ克服の意味も込めて。アンド、シンセを使えば「プログレだね」と言われる。その前に自分で言っちゃえ的意味も込めて。プログレ宣言。
結果的に違った。メロとロンも、変拍子も使ってない。

1. 録音作業は殆ど震災後ですが、曲のメモは、遥か昔から。取り溜めた物が百ピース以上有った。メモ書きや、データだけの物は軽く録音して、聞き比べ選んで、つなげたり、諦めたりして、10曲。ジャケ裏に2001〜2011と書いてあるけど、それも嘘です。1曲目から1998年に作ってた。坂本くんと入谷なってるハウス出た時、これやってました。バッハぽいでしょ。クラシックの人は、アドリブで作曲するんだろうけど、私は煮詰めて、この短さになりました。

2. さりげなく、曲解説に移行してる。『電車ガタゴト』グレゴガゴに意味はないです。この歌詞は、昨年青森に旅行した帰路に書き始めた。ア・ア・ア・という八分音符は声です。これが四分音符だったらローリーアンダーソンですけど、真似した訳ではありません。
2番歌前に「ひーはう」と言ってるのはsmap「SHAKE!」の真似した訳です。
自宅録音で輪郭作って、間宮氏に渡して、B部分にスゴイギター御願いしますと言ったら、ホントにスゴイギターで嬉しかった。笑った。ウ〜ケ〜ルんですけど。C部分、特に意味は無い。映画の予告編カットバック的な物にした。効果音もテンコ盛り。メリノロジーからも入ってる。世界的有名バンドの効果音と同じ物も使ってる。ワカルかな?

3.『捨て犬のような』は、吐き気がする程〜ロマンチックな曲。コレを1曲目にしようか、とも思ったんだけど。照れくさいので3曲目。余白がいっぱいある、静かな曲。間奏はブルガリアンボイスにしたくて自分でコーラス、したけど没。控え目に。というか、悶々として気持ちの整理は付かないので、ワザと素っ気なく、イントロもエンディングも無し。他の曲と繋がって聞こえるようにした曲。は、他にもある。

4.『ローマからスリランカへ』もっと譜面を立体的に作れば、大きな曲になったけど、約束事が多くなると、ダサくなる。最後まで2コード繰り返し。イトケン/かわいしのぶ、が入ってロック色。私の気分はzeppelin。違うか?
木琴の鍵盤足りない音はシンセも追加。ウマく繋いだなぁ。横川氏の演奏はコレだけになっちゃったけど、渋いviolinだ。Grazie per la cortesia、ってのはイタリア語で「御世話になりました」的な意味。

 

5.『トンネル抜けた』福岡くんにdemo渡したら、ステキなギターとベースが入ったので、さて、元の部分を個別に録る為に、どうやってテレコを同期させるか悩んだ。すぐ諦めて、1個ずつ手弾きで録音。ドラムも自分でやるとは言ったものの、頭では出来るのに、手足が付いて来ない。へた〜。まぁ味わいってことで、OKでしょう。ライブでやりたい曲。

6.『あんたの娘』大震災の曲ではなく、子供の頃、神田川のトイ面で火事が有ったことを思い出した。意味ってのは誤解されるのが前提です。五回されるように、いろんなイメージをつなげてます。この曲に何が足りないかというと、ドラムとベース。故意にメロディをずらしたりして、自分で歌うとき何度も間違えた。ポップスというには実験的すぎるけど、素直な気持ち。後日エンディングを追加。ニルソン的スキャットを入れて、更に川口氏にフルートを御願いした。フルートといえば、ジェスロタル。次に思い浮かべるのはトラフィック。

7.『エロヒムエッサイム』軽快な曲になりそうだったので、さらにテンポアップして、keyもアップして、ガチガチの打ち込みの曲に変更する。昔から「お気楽な打ち込み音楽」と言いますが、お前やってみろよバーカ!誰にも出来ると言う事は、逆に難しいぜ。80年代、才能有る人が、打ち込みによって殆ど酷い物になった。でも打ち込みも譜面も意味は同じ。
この曲では川口氏のバリサクを大フューチャー。2回吹いてもらって、両方使ってます。水木大先生に捧げた曲。

8.『複葉機ワルツ』タイトルに特に意味はないです。これは震災復興のイメージが有ったけど、それに特定するのも嫌で、曖昧な場面を追加した。そのサビに当たる部分ですけど、Amだったので「アーィマーィナー」と歌ってみました。…半分ホントです。
最近アコーデオンの録音はテイク2以内に決めるね。これは1回で決まった。でも全体のまとまりが難しくて、間宮氏にバトンタッチ。すっごい色々弦楽器が入って唸った。職人だなぁ。

9.『猫とSteelyDan』お洒落路線は嫌いなんだけど、これはオシャレと言えない事も無い。実はスゴい古い曲。ドンキホ録音時だ。出すタイミングが無くて、今に至る。詩は、困った。「自殺なんて」という詩だったけど、歌ってみたら辛くてヤメた。元々はメロディが、EとAだったので、ミ〜ラ♪という仮歌でした。SteelyDanでも、何でも良かったけど、5文字ぐらいに当てはまる名前をCD棚から見つけて口ずさんで決めました。イトケン以外は自分。横川氏にウマくまとめて頂きました。

10.『方舟』一風変わった物を作ろうという気持ちが絶えずあります。逆に、逆な物を作ろうという時もあります。普遍的な物を作ろう。なかなか良い曲が出来た。と後日、後藤さんから貰った彼の歌(のCD-R)を聞いたら出だし5秒が同じメロだった。彼にメール添付で送って「共作ということにしてもらえませんか」と書いたら「これはメリーさんのオリジナルですよ」と温かい返事をもらった。彼にはウッドベースで参加して頂いた。演奏料(薄謝)を渡したいと伝えると「それなら被災地の寄付に回して下さい」と。どこまで良い人ですか?
間奏、タドタドしい物にしたくて1日がかりでギターソロを弾いた。翌日聴いたら、只のヘタだったので、アコーデオンでやりなおした。テイク1、20秒で済む事だった。方舟と言えば「ノアの運ぶね」ですが「イエスの方舟」という仮題でした。千石イエスのおっちゃんが死んだ後も、あの女性達は集団生活を続けてるって!というTV番組があって、逆に特定の意味に限定されるのが嫌で「方舟」という広い意味にしました。


曲がぶっきらぼうに終わって、ドラムを付け足しました。永遠に終わらないドラムにしたかったけど、それは無理なので終わり方を考える。坂本くんのチェロがまた来て欲しい。&ボクらの笑い声とか、本物の札響オーケストラチューニング(私が生録した)。最後にMacの起動音。これって、a day in the life.風になるかも。と思ったら、まさにそっくり。

10曲入りのつもりだったけど、ホントに新ガーソングライダーに成ってしまったので、ここはひとつ、一風変わった物で余韻を付けたい。シーケンサーにサンプラーの声をポリリズム的にリピートさせる。やはり根がテクノなので。でもタイトルは「ニルソン」。これパクリでしょ?と悪意有る書かれ方をしたら損ですよ。似てると損ですよ、という意味で「にるそん」というタイトルにした。
この音色「我が愛しのサブコ」で使った音だった。あと、たま「子象の・・・」を編曲した時も、使いまくった音色だったぁ。
最後の最後に古〜い自作録音物(1997年)の中から「流木」というタイトルだった物を「黄泉の国へ」というタイトルに変更してCDの締めくくりにする。

どうでしょう。貴方の購買意欲を刺激することが書けたでしょうか。なぜCDを作るのかって?それは、作りたいから。そして貴方に聴いて欲しいから。
ジャンルは何?何系?それは難しい質問。何に似てるかなぁ…。強いて言えば19年前の「ドンキホーテの従者」に似てる。やっぱサウンドがどうあれ、音楽を支配するのは哀しいかな肉声だよな。
このCDが、売れるにせよ、売れ残らないにせよ、9年後に彗星が戻って来る事は有り得ない。
てゆーか9年後に、CDというメディアは、現在のLPのように、過去の存在になってる筈です。それでは左様なら。

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